肝臓内科の主な対象疾患
以下のような疾患は肝臓内科の対象となります。
肝炎
ウイルス性か否かを問わず、肝炎は放置すると約20~30年で肝硬変になり、40年で肝がんに進行すると考えられます。
お酒の飲み過ぎなどによって肝機能検査の数値が異常を示したとしても、最初のうちは病気になっていない未病段階というケースは多くあります。しかし、そのままの生活を続けてしまうと、やがて脂肪肝へと進行し、さらに脂肪肝の状態が改善されず長期間継続すれば、アルコール性肝炎となることもあります。初期のアルコール肝炎であれば、禁酒によって肝臓機能の回復も見込めます。
肝硬変
肝硬変は肝臓の正常な細胞が減少して、肝臓が小さく硬くなり、本来の肝臓機能が失われた状態です。
初期の肝硬変ではほとんど自覚症状が現れませんが、進行するにつれて、色の濃い尿、腹水、黄疸、疲労感、倦怠感、食欲不振、微熱、手のひらの赤み、クモ状血管拡張、かゆみといった特徴的な症状を引き起こし、肝臓がんの発症を招きます。肝炎が慢性となり、長期間放置してしまうと肝硬変の原因になります。
肝臓がん
肝臓がんには、肝臓から起こる原発性肝臓がんと他臓器からがんが転移して起こる転移性肝臓がんの大きく2つのタイプがあります。
原発性肝臓がんのほとんどは肝硬変から進展し、予防や改善にはバランス良い食生活、規則正しい生活が重要です。自覚症状はほぼなく早期発見・治療のためには、定期的な採血検査や腹部エコー検査が必要です。
B型肝炎
B型慢性肝炎は一般に出産時や乳幼児期にB型肝炎ウイルスが感染して起こります。生後数年~十数年間は発症せず、B型肝炎ウイルスは排除されないまま体内で共存します(無症候性キャリア)。
しかし思春期を過ぎ免疫力が発達すると、白血球(リンパ球)がB型肝炎ウイルスを体内から排除しようと攻撃を始め、この時、感染した肝細胞も一緒に壊してしまうことで肝炎が起こり始めます。10~30代に一過性の強い肝炎を起こし、B型肝炎ウイルスが増殖性の高いウイルスから比較的おとなしいウイルスに変化すると、多くの場合そのまま生涯、強い肝炎を発症しません(非活動性キャリア)。
しかし、その中から1〜2割ほどの確率で慢性肝炎へと移行してしまい、は肝硬変や肝がんを発症する人も出てきます。B型慢性肝炎に対する治療法にはIFN(注射薬)や核酸アナログ製剤(内服薬)などがあり、新たな創薬研究が進められています。B型慢性肝炎に対する医療費助成制度にも当院は対応しておりますので、安心してご相談いただけます。
C型肝炎
ウイルス性肝炎には1989年に発見されたC型肝炎ウイルスを原因とするものもあります。
2014年に副作用が少ないDAA製剤と呼ばれる内服薬が登場しています。DAA製剤による治療は公的な医療費助成が得られる専門的治療で、治療期間も短い上、ウイルスの排除率も95%前後と有効性が高い治療法となっています。
B型慢性肝炎と同様にC型肝炎にも医療費助成制度があり、申請には肝臓専門医、もしくは特定の肝疾患の研修を終えている医師が作成した申請書が必要です。当院はそれら条件を満たしておりますので、安心してご相談ください。
脂肪肝
脂肪肝は食べ過ぎ・飲み過ぎによって肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態を指します。食事で摂取した脂肪は小腸で脂肪酸に分解され、肝臓へと送られますが、糖分や脂質の摂取過多によって肝臓に届く脂肪酸が増加することが原因です。
罹患者の傾向としては40歳前後の男性や40代以降の女性に多く、脂肪肝になると様々な生活習慣病の危険性が高まり、動脈硬化などを招きます。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
発生原因にアルコールが含まれないのにアルコール性の肝障害に類似した進展を示す病気が、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)です。脂肪肝に加え、肝臓に何らかのストレスがかかることによって発生するのではないかと考えられていますが、発生に至るメカニズムははっきりとはわかっていません。
自己免疫性肝疾患
細菌やウイルスなどの異物を排除する免疫の異常で、自分自身の肝臓を誤って攻撃されることによって発症します。適切な治療がなされない場合、肝硬変や肝不全へと進行します。胆汁の生成・分泌を促進し、解毒や外生物質の排出などに関与する肝細胞が障害される病気(自己免疫性肝炎)や、胆汁が流れる胆管が障害される病気(原発性胆汁性胆管炎と原発性硬化性胆管炎)によって引き起こされます。
アルコール性肝障害
栄養となるほかの食べ物や飲み物と異なり、アルコールはヒトの身体にとって単に不要な異物として肝臓で処理されます。そのためアルコール摂取が長期間続いていると、その間、肝臓に負担をかけ続けていることになります。
過剰なアルコールの摂取を続けていくとアルコール性脂肪肝となり、さらにアルコール性肝炎となると、肝臓の細胞の破壊が進行していきます。個人差もありますが基本的に自覚症状にはなく、あっても右上腹部の痛みや疲れやすさなどを自覚する程度ですが、アルコール性肝炎の状態で大量に飲酒すると、劇症肝炎に近い状態に陥り、命に関わるケースもあります。
アルコール性肝炎による肝臓の細胞の破壊が進み、肝臓の機能が失われていくとやがて肝硬変に至り、肝臓がんや肝不全のリスクが高まります。そうした段階では、アルコール依存症になってしまっている患者様も少なくありません。
薬物性肝障害
薬物性肝障害個人輸入された中国製ダイエット用健康食品で肝障害による死亡例が、数年前に報告されて問題となりました。
薬物性肝障害は、そのメカニズムにより中毒性と特異体質性に分かれます。大量の薬を飲んではじめて障害が出る中毒性の肝障害が、発生を予測しやすい一方で、特異体質性の肝障害は飲んだ薬の量に関係なく服用者の体質に依存して起こる障害なので、ヒト以外の動物実験で再現するのが難しい点などから、予測は困難です。
通常、臨床で起きる薬物性肝障害の大部分は「特異体質性」のもので、薬物アレルギーによると考えられています。原因となる薬としては、抗生物質、中枢神経作用薬、解熱鎮痛薬、循環器用薬、抗がん剤などに多い傾向はありますが、漢方薬、民間療法薬、健康食品などでもアレルギー性肝障害は起こる可能性があり注意が必要です。
急性肝炎
A型、B型、E型肝炎ウィルスなどのほか、薬剤性の急性肝障害や自己免疫性肝炎急性増悪といった突然発症するケースも含まれ、急性肝炎の原因は様々です。特徴として黄疸の症状が現れる傾向が挙げられ、ほとんどのケースで入院による治療を受ける必要があります。
A型急性肝炎は海産物などの摂食がきっかけとなり、B型急性肝炎は多くの場合、性交渉が引き金となっています。また、E型急性肝炎はイノシシ・シカ・ブタなどの生肉を摂食することで起こります。
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